15-20年で大概の画像診断の読影がコンピュータで可能となった場合のシミュレーションをしてみる。
画像診断がコンピュータでできるのはあくまで欧米のケースである。現在、英語の自然言語処理すなわち話し言葉をコンピュータに理解させる研究、専門的には言語の構造化は急速に研究が進んでいる。しかしこれは英語という比較的論理構造の明確な言語の処理に場合であり、日本語の場合は事情が異なる。日本語の構造化の研究は大変遅れており、理系離れと若者の減少がこれから起こるであろう日本では日本語の構造化処理の研究が進むとは思えない。もっとも欧米で英語の言語処理がほぼ完成すると、あるいは外国人の研究者によって日本語処理が完成してしまうかもしれないと危惧する。
また日本の行政機関はこの種の法的整備が遅い事が推測される。さらには人件費に限っては日本の医療費は米国と比較しようもなく低コストである。裏を返せば米国の医師の収入が高すぎる。特に現状の放射線科医の年収が今迄は高すぎたのだろう。コンピュータのハードのコストは年を追うごとに低くなっているのでいくら低コスト医師の日本であっても読影コストはコンピュータにより下がると思われる。
以上のように考察すると
1:欧米同様、たいていの読影は日本でもコンピュータに代わっていくであろう。
2:ただし日本語処理の研究の遅れと日本政府の法的整備の遅れがこれを妨げる可能性がある。これらの要因により欧米に比してコンピュータ化が遅れる可能性がある。
3:コスト面からはコンピュータ化は避けられないであろう。
以上日本でもコンピュータ化が欧米に遅れるところ25年程度して現実となるかもしれない。20歳の医学生が45歳の働き盛りの医師となる時代、現在のような画像診断医は日本にはもはやいなくなるのだろうか?
このように考えると画像診断の歴史上これまで起きた革命的技術革新
1:レントゲンによるX線の発見
2:CTの発明
3:MRIの発明に続く
第4の技術的革新である Deep learningによるコンピュータ読影は画像診断最後の革命なのだろうか? もっとも人工知能こそ人類最後の発明と呼ばれているので、変に納得してしまいそうになる。