【あ行】【か行】【さ行】【た行】【な行】【は行】【ま行】【ら行】【わ行】
isolation sign アイソレーション サイン
急性虫垂炎時の虫垂周辺の虫垂間膜,腸間膜,周囲脂肪織の肥厚,大網による病変の被覆などの所見が超音波画像上,虫垂を取り囲むhigh echoな描出として病変を周囲から浮き上がらせること。
参考:参考文献のリンク先にとぶ
aortic sonosilhouette sign アオルティック ソノシルエット サイン
大動脈周囲のリンパ節が多数癒合して腫大し,かつそのエコーレベルが低いと,大動脈が内部にうずもれ認識できなくなるサイン.
参考:参考文献のリンク先にとぶ
irregular fatty infiltration イレギュラー ファティ インフィルタレーション
脂肪肝の超音波像で、脂肪沈着の量や分布の違いにより肝内エコーがまだら状に出現する現象(まだら脂肪肝).脂肪の分布が強い所ではエコーレベルが上昇することによる.
参考:
inner tube sign インナーチューブ サイン
胆道内回虫迷入症の際に、拡張した総胆管内に2本の線状高エコー像がチュ-ブ状に描出される.これは,虫体外皮が線状エコーとして,虫体消化管が低エコーとして描出されるためである.胆道内に迷入した回虫の特徴的所見である.ドレナージカテーテルも同様の超音波像を呈する.ドレナージカテーテルも同様の超音波像を呈する場合使われることがある。
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_92.pdf
inward displacement of liver capsule インワード ディスプレースメント オブ リバー キャプスール
肝下面に接した腫瘤の由来臓器が,肝内か肝外(右腎や右副腎など)かを判定するときに用いられる.腫瘤に接する肝被膜が肝内に圧排され内方へ偏位していれば肝外由来で,肝被膜が肝外へ突出していれば肝由来となる.後者をoutward bulging of liver capsuleと呼ぶ.
(retroperitoneal triangular fat wedge 参照)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_92.pdf
Virchow node (ウイルヒョウ 結節) (重要:4年生講義)
腹部悪性腫瘍(特に胃癌)の鎖骨上窩へのリンパ節転移のことをいう。
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_108.pdf
wall-echo-shadow sign (WES sign) ウォールエコーシャドー サイン
胆嚢窩に薄い低エコーに境された2層の曲線状高エコーとその音響陰影からなるいわゆるwall echo shadowを認めた場合陽性とする。胆嚢内に充満した多発小結石ないし大きい結石によってできる所見で、周囲の腸管ガスと区別するためのサインである。
参考:http://pubs.rsna.org/doi/full/10.1148/radiographics.20.3.g00ma16751#F5 (文献2)
whirlpool sign ウォルプル サイン (重要:4年生講義)
腸回転異常症に中腸軸捻転を伴うと,カラードプラ法にて,上腸間膜動脈を中心に上腸間膜静脈が時計回り方向の渦巻き状に描出され,whirlpool(渦巻き) signと呼ばれている.
参考1:http://pubs.rsna.org/doi/full/10.1148/radiol.2403040370#F1 (文献3)
参考2:腸回転異常症 – 画像診断 初学者ブログ
https://blog.goo.ne.jp/cornetfish/e/62998b79185cffd6629112e21ebb9fd8
umbilication ウンブリケーション
特に,転移性肝腫瘍の際にみられる所見で,肝辺縁に存在する腫瘍が内部の変性や壊死により,ちょうど臍状に陥凹しているように描出される.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_108.pdf
FF pattern エフエフ パターン
慢性肝炎で、門脈壁の数の減少や画像の中央領域でエコー輝度が上昇し,近位および遠位領域でわずかに減弱する像を呈する.
(CL patternを参照)
(FF:fatty-fibrotic patternの略)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_92.pdf
omental cakes (大網ケーキ)
腹壁と腸管との間に描出される大網が,腹腔内播種による癌のび漫性浸潤のために帯状,板状に肥厚すること.腹壁直下にみられ高エコーと低エコーが網目状に不整に混在し,表面凹凸不整な腫瘤像を形成.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_100.pd
cuff sign カフ サイン
膵癌における上腸間膜動脈(SMA)の起始部への浸潤を示す.周囲の結合織と比べ低エコー領域がSMAを包むように描出される場合は浸潤が考えられる.その名のとおりSMAを取り囲む“そでカバー”状の厚い円筒状の領域を指す.主腫瘍よりカフ状の部分のエコーレベルは高めに描出され,陽性の場合には動脈周囲浸潤があるため膵癌切除の適応はないものと判断される.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_87.pdf
chameleon sign カメレオン サイン (重要:4年生講義)
肝血管腫において,体位変換をすると腫瘤のエコーレベルが変化する現象.
(disappearing sign,wax and wane signを参照)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_87.pdf
肝腎コントラスト hepato-renal echo contrast (重要:4年生講義)
肝臓と腎皮質のエコーレベルを比較し,その差をみる.通常はこの差はみられないが,脂肪肝では肝実質のエコーレベルが上昇し,明らかな差がみられる.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_92.pdf
keyboard sign キーボード サイン (重要:4年生講義)
拡張した小腸内でkerckring皺壁がピアノの鍵盤状(keyboard)に類似した像を呈する.kerckring皺壁の密度の差により,十二指腸から空腸の拡張では典型像を呈するが,回腸ではこの所見に乏しくなる。
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_96.pdf
keyhole sign キーホール サイン
男性胎児ないし新生児に水腎症を認めた場合、先天性後部尿道弁の有無を調べるのに重要な所見。膀胱から拡張した後部尿道が鍵穴のようにみえることからkeyhole signと名付けられている。
参考:http://pubs.rsna.org/doi/full/10.1148/rg.24si045509#F54B (文献3)
逆肝腎コントラスト
慢性腎不全、ネフローゼ症候群、アミロイド腎などで、腎皮質のエコーレベルが肝臓より上昇しているものを逆肝腎コントラストと呼ぶ.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_92.pdf
cap sign キャップ サイン
最初に発生した癌結節の辺縁に新たに癌が発生したもの.capを被った頭のように,capの部分は低エコーに,頭の部分のエコーレベルは高く(通常は高分化型肝細胞癌)描出され,再発を示唆する所見となる.nodule in noduleと同じ意味であるが,早期の肝細胞癌で有用な所見である.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_87.pdf
cluster sign クラスター サイン
腫瘍が増大していく過程において多数の腫瘍がその名のとおり,ぶどうの房状に融合し一塊となったもの.肝臓の転移性腫瘍を超音波像に対してよく使われるサイン。
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_87.pdf
Krukenberg’s tumor(クルーケンベルグ腫瘍)(重要:4年生講義)
胃癌や腸癌などの消化器由来臓器からの卵巣への転移。通常,両側性にみられることが多い.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_96.pdf
coursing line コーシング ライン
リンパ節内部にリンパ門(hilum)が線状高エコー像として描出される.reactive(反応性)なリンパ節の良性腫大像として認められる.悪性例ではみられることが少なく鑑別点となる.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_87.pdf
comet-like echo(コメット様 エコー)、comet sign (重要:4年生講義)
高輝度エコーの後方に彗星のような白い縞がみられ,深部にいくほど小さく,おたまじゃくしの尾のように描出される現象.アーチファクトの一種で多重反射による.対象物の超音波反射強度が音響陰影を伴うほど強くなく,対象物のみで超音波の往復が起こるために生じる.胆嚢の壁在結石の存在や胆嚢腺筋腫症が認められる胆嚢で観察される事がよく知られているが、 肝臓、胆管、膵臓、脾臓など、いろいろな場所の超音波像で使われる。
(comet tail artifact,tadpole tail artifactと同義語)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_87.pdf
sandwich sign サンドイッチ サイン
腫大したリンパ節が一塊となり血管を取り囲む所見.上腸間膜動脈の前後を腫大したリンパ節が取り囲みサンドイッチ様の像を呈する.悪性リンパ腫では,間質が少なく腫瘍細胞が密に配列しているため均一な低エコーとして描出され,逆に腫瘤内の血管像は明瞭となる.“doughnut”appearanceとも呼ばれる.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_100.pdf
satellite nodule サテライト ノジュール
肝細胞癌などで、主癌腫瘍の周囲にみられる小結節が衛星のように描出されるためにいう
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_100.pdf
cervix sign サービックス サイン
肥厚性幽門狭窄症において縦断像で肥厚した幽門筋が重なりあってできる二つの線状低エコー像.肥厚した幽門筋が前庭部に突出し,子宮頸部に類似するためcervix signと呼ばれる.横断像では肥厚した幽門筋が標的状にみられtarget signとも呼ばれる.幽門筋の厚さが3mmまでは正常であり,4mm以上のものは肥厚性幽門狭窄症と判断される.(double-track sign,target signを参照)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_87.pdf
shell sign シェル サイン
胆石が胆嚢内に充満し,内腔が描出されない場合に,強い音響陰影を伴った貝殻(shell)に似た弧状のストロングエコーが胆餒窩に一致して描出される.(double arc-shadowも参照)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_104.pdf
CL pattern シーエル パターン、starry sky sign
急性肝炎や慢性肝炎の急性増悪の際に、肝内エコー輝度の全体的な減弱がみられるために,相対的に門脈壁の輝度が上昇し広範囲に描出される.夜空に星をちりばめたように描出されることよりstarry skyとも呼ばれる.(FF patternを参照)(CL:centrilobular「小葉中心性」の略)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_87.pdf
shotgun sign ショットガン サイン (重要:4年生講義)
総胆管下部の閉塞により上部胆管が拡張し,肝門部において門脈本幹とともにshotgun(二連銃)のように描出される.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_104.pdf
shoulder sign ショルダー サイン
肥厚した幽門筋により,幽門部が腫瘤状に胃内腔に肩のように突出する像.(もともとはX線検査所見)(beak signも参照)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_104.pdf
pseudo kidney sign シュードキドニーサイン (重要:4年生講義)
消化管壁の全周性の肥厚像が腎臓の超音波像に類似することから称される.周囲の壁肥厚像は低エコーに,中心部の内容物や粘膜像は高エコーとして描出される.一方,レントゲンの注腸造影でみられる全周性の狭窄像をapple core signと呼ぶ.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_100.pdf
pseudo-tumor sign (偽腫瘍サイン) (重要:4年生講義)
脂肪肝でみられる限局性の低エコー領域が,腫瘤と紛らわしいために表現されている.(focal spared regionを参照)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_100.pdf
pseudo parallel channel sign シュードパラレルチャンネルサイン
拡張した肝動脈枝と肝内門脈枝が並走して描出され,あたかも閉塞性黄疸のときにみられるparallel channel signのようにみえることから呼ばれる.本症はカラードプラ検査により容易に鑑別可能である.アルコール性肝炎の約85~90%にみられるとの報告もある.もう一つの意味として,下右肝静脈と右門脈後下区域枝が並走するための呼称でもある.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_100.pdf
Schnitzler’s metastasis (シュニッツラー 転移) (重要:4年生講義)
腹腔内の悪性腫瘍が, 膀胱直腸窩や直腸子宮窩(Douglas窩)に播種性に転移したもの.参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_104.pdf
striated intramural lucency ストリエーテッド イントラミューラル ルーセンシー
急性胆嚢炎の際に,肥厚した低エコーを呈する胆嚢壁内にみられる不整で不連続なスジ状エコー帯.不整で互い違いになっているような不連続なエコー帯.急性胆嚢炎での特異度は高い.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_104.pdf
scalloping スキャロッピング
腹膜偽粘液腫や腹膜播種において肝辺縁で観察される波状彎入像(scalloping).ほたて貝のへりのような波形模様が語源.腹膜偽粘液腫では,同時に腸管の圧排像も観察される
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_104.pdf
Seven-eleven rule セブンイレブン ルール (重要:4年生講義)
肝外胆管の最大径を測定して7mm以下を正常、7~11mmはborderline、11mmを越える場合は明らかに異常.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_104.pdf
sonographic Murphy sign ソノグラフィック マーフィー サイン (重要:4年生講義)
Murphy signは急性胆嚢炎の際の触診所見として重要なサインであり、胆嚢炎がある例で右肋骨弓下を触診すると、胆嚢の痛みのために息を深く吸えない現象をいう。
Sonographic Murphy sign とは超音波で描出される胆嚢に圧痛があれば陽性とする。
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_104.pdf
sonolucent layer ソノルーセント レイヤー (重要:4年生講義)
急性胆嚢炎などで炎症が高度の場合に,胆嚢壁が高・低・高の3層構造として描出されるが,このうちの粘膜と漿膜との間の低エコー層のことを意味する.胆嚢漿膜下の浮腫や壊死を反映している.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_104.pdf
double arc-shadow sign ダブル アークシャドー サイン
萎縮胆嚢内に音響陰影を伴った胆石像が充満する場合,表面のストロングエコーの腹側に胆餒壁を示唆する低エコー像がみられる.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_92.pdf
double-track sign ダブルトラック サイン
(cervix signを参照)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_92.pdf
disappearing sign ディスアピアリング サイン
肝血管腫において探触子で腫瘤を圧排することにより腫瘤性状が変化し不明瞭化する現象.海綿静脈洞の大きさの変化により,後方散乱が変化することに起因する.
(chameleon sign,wax and wane signとほぼ同義語)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_92.pdf
deep attenuation (深部減衰) (重要:4年生講義)
脂肪肝の脂肪沈着が高度の場合に,肝臓の深部では音波の減衰のためにエコーレベルが低下する現象.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_87.pdf
danish pastry sign デニッシュ パストリー サイン
(target sign, multiple concentric ring sign を参照)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_87.pdf
target sign ターゲット サイン (重要:4年生講義)
target pattern ターゲット パターン(標的像)
(multiple concentric ring sign,bull’s eye patternを参照)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_104.pdf
too many tubes sign ツーメニー チューブズ サイン
閉塞性黄疸が高度のときに,肝内に拡張した肝内胆管像が多数みられる.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_104.pdf
tumor in tumor チューモア イン チューモア
(mosaic pattern を参照)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_104.pdf
triangular cord sign (TC sign) トライアンギュラー コード サイン
門脈近傍に三角形ないし管状の高エコーがあり、これが4mm以上であればTC sign陽性とされる。TC signは胆道閉鎖症でみられる所見である (図1)。
参考:http://www.ajronline.org/doi/full/10.2214/AJR.10.5180 (文献4)
triangle sign トライアングル サイン
分節型の胆嚢腺筋腫症に多くみられる所見で,胆嚢のくびれた部分に三角形(triangle)の隆起像が描出される.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_104.pdf
nutcracker sign ナットクラッカー サイン (重要:4年生講義)
心窩部横走査にて,左腎静脈が腹部大動脈と上腸間膜動脈との間に挟まれて怒張する現象.腎静脈圧が上昇し血尿の原因ともなる.やせた患者や,探触子で腹部を強く圧迫することもnutcracker現象の誘因となる.(nutcracker phenomenonと同義語)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_100.pdf
network pattern ネットワーク パターン
肝内門脈枝内部の日本住血吸虫卵の石灰化およびそれらを取り囲む線維化,肝組織の脱落した部位の結合組織の増殖により,肝内が多数の網目状あるいは亀甲状の高エコー帯により区分して描出される.特に肝表面や末梢領域での変化が著しく特徴的である.fish-scale pattern(魚の鱗状)とも表現される.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_96.pdf
nodule in nodule ノジュール イン ノジュール
(mosaic pattern を参照)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_96.pdf
hyperechoic rim ハイパーエコーイック リム (重要:4年生講義)
(marginal strong echoを参照)
vascular blurring(脈管不明瞭化)
脂肪肝において,脂肪沈着の程度が強くなり,脂肪滴による音の散乱や反射によって肝内部の脈管が不明瞭化する現象.
(hepato-renal echo contrast も参照)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_108.pdf
halo ハロー
肝臓と乳房で用いられており,両者の使われ方が異なる.前者は低エコー,後者は高エコーに描出される.肝臓では腫瘍辺縁にみられる低エコー帯を指す.転移性肝癌では厚みがあり,不明瞭なことが多い.この場合の辺縁部分は転移性の細胞浸潤による.肝細胞癌では全周性で均等な厚みで明瞭.この場合の辺縁部分は線維性被膜による.marginal hypoechoic zone(辺縁低エコー帯)としても用いられている.乳房では腫瘤の境界部にみられる環状高エコーが太陽にかかる反射暈のように描出されることから用いられてい
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_92.pdf
hump sign ハンプ サイン
肝表面に限局性の隆起や突出を認める場合をいい,腫瘤の存在を意味する.肝細胞癌では多くみられ血管腫ではまれなため両者の鑑別に用いられる.(転移性肝腫瘍ではumbilicationを参照)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_92.pdf
parallel channel sign パラレルチャンネル サイン (重要:4年生講義)
拡張した肝内胆管が並走する肝内門脈枝とともに平行線状に描出される.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_100.pdf
beak sign ビーク サイン
もともとは放射線科領域のX線診断学で広く使われいるサインであり、様々な疾患で使用されている。超音波においても多様な疾患で用いられている。幽門部が著しく狭窄している場合に,入り口において鳥のくちばし状(beak)に狭窄部に向かって突出する像.腎由来の腫瘤の場合,腫瘤と腎皮質との境界部が,くちばし状(beak)に描出される.膀胱頸部硬化症における,前立腺部尿道全体の開大不全像や索状物による絞扼イレウスの診断にも用いられる.(shoulder signを参照)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_87.pdf
fireworks sign ファイアーワークス サイン
FNH(現局性結節性過形成)のレボビスト造影超音波検査において、腫瘤の染影が中心から辺縁にむかって花火(fireworks)のように広がるサイン。FNHのサイズが小さい場合やFNHに特徴的とされるspoke-wheel patternの描出が困難な症例において有用なサインである(文献5)。
fatty bandless sign ファッティ バンドレス サイン
(masking signを参照)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_92.pdf
faceless kidney sign フェースレス キドニー サイン
重複腎盂、腎盂癌、腎悪性リンパ腫などにより腎洞の正常CEC構造が消失している場合、 faceless kidneyと呼ぶ(図2)。元来CTのサインであったが、超音波でも使用されている。腎臓の断層像に映る、腎実質、CECを顔に例えている。
参考:http://pubs.rsna.org/doi/full/10.1148/rg.24si045509#F35B
focal spared region フォーカル スペアード リージョン (重要:4年生講義)
focal spared area フォーカル スペアード エリア (重要:4年生講義)
脂肪肝でみられる限局性の低エコー領域が,腫瘤様に描出され,腫瘤と紛らわしいために表現されている.
(fat sparing area,pseudo-tumor sign と同義語)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_92.pdf
focal fatty change(肝限局性脂肪沈着)(重要:4年生講義)
肝内に限局性に脂肪沈着があり,高エコー像として描出されるもの.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_92.pdf
bright liver(高輝度肝)(重要:4年生講義)
肝臓は高輝度のエコースポットで満たされ,全体的にエコーレベルが上昇する現象.浅部で特徴的である.無数の脂肪滴によるエコーの反射や散乱に基づく.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_87.pdf
bright loop pattern ブライト ループ パターン
2cm以下の高エコー型肝細胞癌でみられるもので,内部が低エコーに抜け,腫瘤辺縁に高エコー帯を有するもの.幅は一定でないことが多い.早期肝細胞癌の発見に有用.脂肪化を伴った高分化型肝細胞癌の内部に脂肪化を伴わない分化度の異なる,より低分化な肝癌が発育するために出現する.輪状の脂肪化による,淡明細胞化や線維化などに起因する.血管腫でみられるmarginal strong echoと鑑別を要す.
(marginal strong echoを参照)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_87.pdf
flag sign フラッグ サイン
肝硬変の超音波像において、肝臓表面からその名のとおり“旗がなびく”ように縦縞模様が描出される.肝表面に凹凸がある場合に,突出部の後方は暗く,陥凹部の後方は明るく描出される現象で,再生結節からの側方陰影に相当する.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_92.pdf
playboy bunny sign プレイボーイ バニー サイン
肋骨弓下走査で拡張した中肝静脈および左肝静脈が1playboy bunnyの耳に類似することから呼ばれる(図3)。うっ血肝では肝静脈の怒張のためにこの所見が観察される.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_100.pdf
penetrating duct sign(膵管穿通徴候)(重要:4年生講義)
膵管穿通徴候のこと.慢性膵炎に急性炎症が加わる場合に,限局して炎症が起きると膵癌とまぎらわしい腫瘤像を呈する.この場合,腫瘤内部を主膵管が断裂することなく貫通している所見がみられれば,腫瘤形成性の慢性膵炎と判断される.膵癌ではみられないため両者の鑑別に有用である.
(duct penetration signと同義語)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_100.pdf
periportal hypoechoic layer ペリポータル ハイポエコーイック レイヤー
(portal sandwich sign を参照)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_100.pdf
bull’s eye sign ブルズアイ サイン (重要:4年生講義)
bull’s eye pattern ブルズアイ パターン (重要:4年生講義)
腫瘤中心部の変性した領域が高エコーとなり,辺縁に均等で幅の広い低エコー帯を有する円形腫瘤像.イメージ像としては,ドーナツ状であり,また,雄牛の眼にも似ていることからbull’s eyeと呼ばれている.転移性肝腫瘍でみられる所見だが、真菌性の脾膿瘍でも同様に,中心部が高エコーな低エコー腫瘤がみられる.(target pattern 標的像とも呼ばれるが、target patternは、全周性に壁が肥厚した消化管の輪切り像の表現や腸重積の表現に用いられる。)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_87.pdf
posterior echo enhancement (後方エコー増強)(重要:4年生講義)
腫瘤の後方の音響が周囲実質に比べて増強すること.肝細胞癌では腫瘤内部の方が周囲の肝実質よりも音の減衰が少ないために観察される.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_100.pdf
portal sandwich sign ポータル サンドイッチ サイン
特発性門脈圧亢進症(IPH)でみられ,内腔が狭小化し肥厚した肝内門脈枝(高エコーに描出)の周囲を取り囲むように低エコー帯が観察される(図4)。肝硬変との鑑別に重要である.高エコーは器質化血栓を含む狭小化した門脈枝を反映している.外側の帯状の低エコーは門脈枝周囲のGlisson鞘の浮腫状の拡大や線維化およびその内部の多数のリンパ管様脈管を反映している.食道静脈瘤や脾腫がみられ肝機能が良好な場合,このサインがみられればIPHを疑う.原発性胆汁性肝硬変や肝硬変ではまれ.(periportal hypoechoic layerと同義語)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_100.pdf
marginal strong echo (辺縁高エコー帯) (重要:4年生講義)
主に低エコー型の肝血管腫において,腫瘤辺縁に認められる高エコーの縁取り.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_96.pdf
marginal hypoechoic zone (辺縁低エコー帯) (重要:4年生講義)
腫瘤辺縁にほぼ均等に認められる辺縁低エコー帯.腫瘍細胞が周辺肝組織よりも高密度に配列しているため,その膨脹性発育のために非癌部肝組織が圧排され,線維成分の凝集も伴って被膜様構造を形成する.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_96.pdf
masking sign マスキング サイン
脂肪肝のために肝臓と接する胆嚢壁や,右腎と肝臓との境界が不明瞭となる現象(fatty bandless signと同義語)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_96.pdf
multiple concentric ring sign マルチプル コンセントリック リング サイン (重要:4年生講義)
腸管が隣接する腸管に陥入し層状構造を呈する.短軸像にて腸管壁が幾層にも重なり,多数のリング状に描出されることより称される.1歳以下の乳幼児に多く,回腸が上行結腸に重積するものがほとんどである.成人では悪性腫瘍が先進部分となることが多く(5~10%),その発生は回盲部が多い.腫瘤の内部構造が, 同心円状の配列を呈し標的様(target pattern)に描出される.(target patternを参照)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_96.pdf
Mickey Mouse sign ミッキーマウス サイン (重要:4年生講義)
肝門部横断走査にて,固有肝動脈は門脈の腹側で左寄りを,胆管は右寄りを走行するため,門脈-胆管(右耳)-動脈(左耳)の三者が形成され,mickey mouseの顔に似ていることより呼ばれる.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_96.pdf
mixed pattern(混合パターン) (重要:4年生講義)
腫瘤の内部が充実部分と餒胞部分とに混合したパターン.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_96.pdf
mirror image (鏡像現象), mirage phenomenon (蜃気楼現象)
mirror image (鏡像) は横隔膜のような強反射体を挟んで対称に像と虚像とが同時に描 出される現象である。したがって実像と虚像とは等距離に描出される。一方mirage phenoenon (蜃気楼現象)は、横隔膜のような反射体を挟んで像と虚像とが同時に描出さ れる点ではmirror imageと同じであるが虚像と像とが 対称性関係にないばかりか、 虚像が実像とは全く異なる断層面を反映している点が異なる現象である(図5)(文献6)。
mesh pattern メッシュ パターン
B型肝硬変でみられる肝実質の不整像.肝実質は粗雑で小さな小結節がび漫性に存在し,その名のとおり網細工のような網目状の構造を呈するためメッシュパターン,ウロコ状パターンと呼ばれる.(meshwork patternと同義語)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_96.pdf
mosaic pattern モザイク パターン (重要:4年生講義)
被包型肝細胞癌の特徴の一つで,その内部構造が多数の線維性隔壁により分割されて,種々のエコーレベルの小結節像として描出される.
(nodule in nodule,tumor in tumorと同義語)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_96.pdf
lateral shadow(外側陰影) (重要:4年生講義)
辺縁平滑な球状腫瘤を呈する場合や,組織間の音速に大きな差がある場合に超音波を入射すると,接線方向にビームの屈折が生じ,腫瘤の側方から後方に音響陰影を生ずることがある.これを外側陰影という.
参照:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_96.pdf
retroperitoneal triangular fat wedge レトロペリトニアル トライアンギュラー ファット ウェッジ
肝臓と右腎との間隙に存在する後腹膜脂肪組織が三角形を呈する場合は,副腎由来の腫瘍の存在の可能性が示唆させる。
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_100.pdf
renal rind sign リーナル リンド サイン
腹痛患者の右側腎外前方後腹膜脂肪層の厚み増大とエコーレベルの上昇はrenal rind sign陽性とされる。これは膵臓、胆嚢、十二指腸、上行結腸などの炎症が右腎周囲の後腹膜腔に波及したことを示唆するサインである(文献7)。
参考:http://www.birpublications.org/doi/pdf/10.1259/0007-1285-61-729-806
ring sign リング サイン
肝細胞癌の腫瘍辺縁にみられる低エコー帯が指輪のリング状を呈する所見.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_100.pdf
rolling stone sign ローリング ストーン サイン (重要:4年生講義)
音響陰影を伴わない胆嚢の小結石が,体位変換によって移動性が認められる様子.
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_100.pdf
wax and wane sign ワックス アンド ウエイン サイン (重要:4年生講義)
肝血管腫において,継時的に腫瘤性状が変化する現象.(月の)満ち欠けの意味.
海綿静脈洞の血管構築の変化により,血流動態も変化し超音波像が変化する.1.4~1.9cmのものに多いとされる.
(chameleon sign,disappearing signも参照)
参考:http://www.jss.org/magazine/pdf/2801/28_108.pdf
参考文献:
1) 実用超音波用語集-サイン集-、日本超音波検査学会標準化委員会編、超音波検査技術 vol. 28 No. 1、87-111, 2003 (http://www.jss.org/committee/standard/03.html)
2) Bortoff GA, Chen MY, Ott DJ, Wolfman NT, Routh WD. Gallbladder stones: imaging and intervention. Radiographics. 20(3):751-66. 2000
3) Fernbach SK1, Holland EA. Undiversion of the urinary tract: the pre-and postoperative evaluation. Radiographics. 8(2):213-33. 1988
4) Mittal V, Saxena AK, Sodhi KS, Thapa BR, Rao KL, Das A, Khandelwal N. Role of abdominal sonography in the preoperative diagnosis of extrahepatic biliary atresia in infants younger than 90 days. AJR 196(4):W438-45. 2011
5)Onoue K, Miyamoto Y, Nishioka M, Nakata N et al, A cese of focal nodular hyperplasia with a new characteristic finding on contrast-enhanced ultrasonography using Levovist. J Med Ultrasonics 40:47-50, 2013
6)宮本幸夫、原理、技術、アーチファクト、臨床画像 19(11)増刊号、12-13,2003
7) Belli AM Joseph AEA, The renal rind sign: a new ultrasound indication of
inflammatory disease in the abdomen, The British Journal of Radiology, 61, 806-810,1988